平塚運一

ある日の日曜日。
待ち合わせ場所で
目に留まったチラシは
平塚運一の展覧会。

島根県松山市の
宮大工の家に生まれた運一。
自画、自刻、自摺を
旨とする創作版画の中でも
卓越した技術を持ち
「木版画の神様」と称されています。


日本国内はもとより
韓国、中国、アメリカなど
運一の心に響いた美しさや
版画で記録しなければ!と感じたものを
見事に表現していました。

一枚一枚、見進めるたびに
じんわりと心に沁みる感覚になっている
自分に気が付きました。

運一が摺った紙には
卵のような黄色味がかったものがあります。
それが、版画の黒と合わさると
まるでカラーのように見える
作品もありました。

そして、浮世絵に代表される
板目木版ではなく
木口木版で制作された作品は
ともかく繊細で美しい。
硬質で目が詰まって
密度のある木材を削り、摺った
ち密な作品は、日本人だからこそ…


断捨離を進めている私が
図録を購入することは滅多になく
若冲の展覧会以来となります。

平成最後の年に、平塚運一の作品と
出会えたことは幸運でした。

日本では立て続けに災害が多く起こり
運一が愛してやまなかった
美しい日本の風景は
傷だらけになっています。

運一はあの世で
どんなことを感じているだろうか…
きっと私と同じように
悲しんでいるに違いない…と
そんな風に思いながら家路につきました。

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